
東洋医学(はりきゅう)の考え方
- 元気をつくり出す腎臓と胃
中医学では、健康を支えている一番大切な臓器を腎臓だと考えています。腎臓は先天的な気の発生場所、樹木に例えば根っこに当たると言われています。後天的に気が発生するのは胃です。
これは樹木に例えるのなら幹に当たります。
つまり、元気を維持するためには、腎臓と胃がしっかりしていないといけないということになります。さて、そのまま食物を選ぶヒントになります。
すなわち、根っこが伸びている土の黒、幹の色である赤で、食べ物も黒いものと赤いものを必ず食べることで、腎臓、胃の健康を保ちます。
黒い食べ物とはなんでしょうか?
黒豆、黒ゴマ、わかめ、のり、ひじき、昆布、シイタケ、麦ご飯、黒パン、黒砂糖。
赤い食べ物は何でしょうか?
ニンジン、うずら豆、小豆、かぼちゃ、トマトなどで、りんご、みかん、いちごなどの果物も含まれます。
また、腎臓のためには、黒いものの他に豆製品がお薦めです。
大豆、豆腐、納豆、おから、高野豆腐など、それから小魚や煮干といったカルシウムの摂取が大切でしょう、これらはできれば丸ごと食べることが理想です。
- 好ましい食べ物、好ましくない食べ物
季節に合ったものを食べるようなこころがけも必要です。
自然栽培した場合、野菜や果物などは季節が限定されているのが普通です。
体も自然の一部ですから、この摂理に合わせて食べ物を決めるべきなのです。
そうしないと、例えば、冬に冷たいものを食べて体を冷やしてしまったり、季節外れでアクが強いものを食べることになってしまいます。
こうしたことは母体の環境を整えようとしている漢方薬や鍼灸の効果を弱めてしまいかねません。
また、その意味からも、インスタント食品や加工食品などはなるべく避け、自然に近いものを食べましょう。
妊娠に好ましくない食べ物とはどんなものがあるでしょうか?
まずは、アクの強いものです。ほうれんそう、ごぼう、たけのこ、ワラビなどで、これらを食べると臓器のなかでも濾過の役割を持つ腎臓のオーバーワークを誘い、疲れされてしまいます。これらをよくあく抜きをしてから食べるように心がけましょう。
また、特に南方系の果物(コーヒーも含む)は、暑い地方の人たちが体から熱を取るために食べるものですから、そうでない生活をしている人にとっては体を冷やすだけになってしまいます。
なるべくなら、控えるようにした方が無難と言えるでしょう。 
- 妊活は食事が大切
一日三食は人間の身体を作っております。
食べものはカラダといかにも密接の関係があるとも言えます。
人間の身体になくてはならない栄養素のうち、特に大切とされているたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルを「5大栄養素」と呼びます。
たんぱく質は筋肉や骨・内臓を作り、脂質や淡水化物はエネルギーのもととなります。
ビタミンやミネラルはたんぱく質、脂質、炭水化物の分解を助け、体の調子を整えてくれます。
妊活中はこの「5大栄養素」をきちんと摂るように心がけましょう。
妊活中に特に積極的に摂りたい食べ物は下記の通りです。
1. 良質なたんぱく質を多く含む食べ物
2. 抗酸化作用のある食べ物
3. 身体を温める食べ物
4. 鉄、亜鉛を含む食べ物
5. 脂質を適度に含む食べ物
〇肉類
肉類には、身体を作るために欠かせないたんぱく質が豊富に含まれています。豚肉にはたんぱく質と糖質の他に、脂肪の分解を助け身体のエネルギーに変えるビタミンB群が多く含まれているため、代謝を上げる効果を期待できます。牛肉は、体内で合成することができない必須アミノ酸をバランスよく摂ることができます。特にレバーは、ビタミンBや必須アミノ酸、鉄、葉酸が多く含まれており、バランスよく必要な栄養を摂ることができるため、妊活中におすすめの食材です。
毎日の食卓に、主菜として肉類を積極的に取り入れるようにしましょう。
〇魚介類
魚介類は質の良い動物性たんぱく質を多く含み、妊活中におすすめの食材です。さらにビタミンやミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)、高度不飽和脂肪酸(DHA:ドコサヘキサエン酸、EPA:エイコサペンタエン酸)など、身体に必要な多くの栄養素が含まれています。また、煮干しには血液のもととなる鉄が多く含まれています。魚が苦手な方も、煮干しだしを利用したり、調理方法を工夫したりすることで、上手に魚介類を食事に取り入れてみてくださいね。
〇卵
卵にはたんぱく質が多く含まれています。体内で合成することができない必須アミノ酸、たんぱく質と糖質、脂肪の分解を助け身体のエネルギーに変えるビタミンB群も多く含まれており、理想的な食品のひとつです。
〇大豆・大豆製品
大豆や大豆から作られる豆腐や味噌には、植物性のたんぱく質が多く含まれています。必須アミノ酸やビタミンB群のほか、血液を作る材料となる鉄や、代謝を助けるマグネシウムも多く含んでいます。
〇野菜
野菜は身体に良いとわかっていても、十分な量の野菜はなかなかとれないものです。野菜類は1日350g以上食べることをすすめられています。
〇️妊活中に特におすすめしたい野菜は以下の通りです。
・ほうれん草、アスパラガス:葉酸が多く含まれる
・緑黄色野菜:鉄が多く含まれる
・玉ねぎ:抗酸化作用がある、血行を促進する効果がある
・にんにく、ニラ、生姜:血行を促進する効果がある
・ゴマ、シソ、ハーブ:抗酸化作用がある
西洋医学的な考え
- 不妊症の原因
妊娠しない理由は、さまざま、原因となるトラブルは重なることもあります。
卵の問題
① 卵巣機能不全
② PCOS(多のう胞性卵巣症候群)
③ 高プロラクチン血症
④ 黄体機能不全
加齢・ストレスに深く関与します。
子宮と卵管の問題
① 卵管狭窄
② 卵管閉塞
③ 子宮の病気(ポリープ・筋腫)
④ 子宮奇形
⑤ 頚管粘液の異常
⑥ 抗精子抗体
クラミジア感染に深く関与します。
男性の問題
① 乏精子症
② 精子無力症
③ 射精障害
④ 性交障害
⑤ 精路通過障害
⑥ 無精子症
その他
① 子宮内膜症
② 原因不明の機能性不妊
- 主な不妊治療法
① タイミング法
生理周期ごとに一度ある排卵日をいろいろな方法で推測し、その日に合わせて性交を行い、自然妊娠を待つのがタイミング法です。
排卵日を知り、受診せずに行うことも出来ますが、医師の指導を受ける選択肢もあります、必要に応じて低刺激の排卵誘発剤を使用する場合もあります、いずれにしても、最初の段階で試みる方法です。
② 人工授精(AIH)
タイミング法だけで妊娠しない場合に実施されることが多い。
精液から元気な精子を集めて、子宮に入れるので、主に男性側に不妊原因があるケースに効果を発揮します。
精子と卵子の状態が良ければ、一回あたり20~30%の妊娠率が期待でき、(平均すれば一回あたり5~10%の確率です。
入院も麻酔も不要、体への負担が少ない治療法です。
5~6回行っても結果が出ない場合は、次のステップを考えてみて下さい。
③ 体外受精(IVF)
これまでの一般的不妊治療から、高度生殖医療へとステップする「体外受精」
体外受精は、高度生殖補助医療として、もはや特別なものではなくなっており、約65人に1人が体外受精によって出生しています。
不妊の原因、カップルの希望、女性の年齢などによっては第一選択の治療方法となる場合もあります。
体外受精の手順としては、まず排卵誘発のための薬を使って排卵を刺激して卵を育てます。次は、卵を採取し(採卵)良い状態に整えられた精子と合わせて受精させます(媒精)。そして2~5日後に質の良い受精卵を子宮に戻します(胚移植)。
顕微授精も体外受精の1種です。
④ 顕微授精
顕微授精とは卵子に精子を直接注入する方法です。
卵子のどこに入れるかが異なります。卵細胞質まで精子を入れるイクシー(ICSI)は妊娠率が最も高く、現在はどの施設でもイクシーが主流になってます。
- 不妊治療の副作用と問題点
副作用
① 薬による副作用
② 麻酔による副作用
③ 採卵時の出血、感染
④ 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
排卵誘発剤を投与すると、卵巣はたくさんの卵胞を育てます。
卵胞から出るエストロゲンというホルモンが多量に生成されると、血管の通過性が増し、卵巣が肥大し、水分が貯留し、腹部のむくみや膨満を覚えたり、ひどくなると、腹水や胸水を生じたりします。また、血液が濃くなることで血栓が出来やすくなっております。
体外受精のリスク
① 流産
② 子宮外妊娠
③ 胞状奇胎
④ 多胎妊娠